検索窓
今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:3,710 hit

三味違う、弍 ページ10

Aは よ、っと云いながら与謝野と賢治の隣に座りながら、はて?と首を傾げた。

「ん、皆肉まん食べただろ!」

くん、と鼻を鳴らして云った。
今食べているのは賢治だけだが、鼻の善いAのことだから、判ってしまったんだろう。


何も反論も抗議もない周りの顔を見て、Aはむむ、っと幼く辺りを睨んだ

「えー、狡いー私も食べたかった」

だが、様々な難事件やら難関問をくぐり抜けてきた社員達にそんな子供っぽい睨みなど、怖くもなんともない。


まあ、だからではないが、首をすくめて

「善いじゃないかい。それぐらい。どうせいつも通りAも道草食ってきたんだろう?」
「う゛」
「しかもそれで遅れて帰ってきた。違うのかい?」
「ああ、そう云う事云う晶子ちゃんー」


因みに道草というのは、彼女の__正確には彼女等の__好きな寄り道。仕事後の駄菓子屋、飯屋、甘味屋巡りの話だ。


勿論全員が承知のうえだ。
何故って、誰と依頼に外に出ても行くものだから、Aと行くと帰りが遅くなる。というのが探偵社にある常識である。


だから、
「まあ、その通りだから善いんだけど。で」

けろっと肉まんの話を棄てて、白板に目を向ける。
其処に書かれた言葉を見ながら
「全然意味判んないな」

そこに居た一同そりゃそうだろう。と頷いた。

前半は善いとして、中盤から後半に掛けては見ただけでは判らないものだろう。


「どうでしょうかAさん、何か案はありますか?」

太宰はにっこり笑ってこれまで通りAに意見を求めた。

だが、これ以上個性の強すぎる素っ頓狂な意見が増えたらどうするのだろう。だってAさんである。
確かに常識人ぽいところはあるし、本人も自分が常識人である風に振る舞う部分もある。だが、しかしAさんであるから!




そんな視線が向けられたとは露知らず、Aは少し首を傾げて

「誠実さとか真面目さだとか、探偵社に相応しい人間だと判ればいいんだよね?」
「はい、そうですね」

「じゃあ、誰かと鬼遊戯(ごっこ)とかして、見つけられるまで帰ってく来ちゃ駄目。とかは?」


おや?と全員がAを見た。思った以上に可愛らしい内容であって。と、云うより

「ですがAさん。其だけで試験とするのは・・・」
「うん。だから、虎少年が逃げる方で、私達が追い掛ける方」

三味違う、惨→←三味違う



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きゅういち | 作成日時:2019年1月19日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。