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二味違う、弍 ページ6

「軽目焼ー?軽目焼ーねー」

別に買ってくのは良いが、軽目焼なら作った方が疾いなァ。

どうせ暇だし、作るのも悪くない・・・


ふむ。と、私は賢治くんを見て
「賢治くん」
「?なんですか?」
「軽目焼好き?」

私の言葉に賢治くんは少し首を傾げて、ニッコリと笑った

「そうですねー、好きですよ」
「だよね。私もアレは甘くて好きなんだよね」


砂糖の塊と云っても過言ではない軽目焼。だが砂糖の塊だからこそ作るのは簡単であって。

甘くて美味しいんだよね。本当に



そんな事を考え、立ち上がろうとした時

「あーもう。だから疾く帰ろうって云ったのに!Aの所為(せい)だからね」

「え゛え?」


江戸川が私が立ち上がるよりも疾く、不満げな声を上げた。
むうっと眉間に皺を寄せたから、何かと思えば


ダダダ



酷く慌ただしく駆ける足音がした
まあ、多分

「ん、国木田帰っ___」


私の言葉が終わる前に

バン、



勢い任せに社の扉が開いた。

勿論開けたのは国木田だが、其の様子は矢張りどこか慌てた様である。



「お帰りなさいです国木田さん」
賢治くんの笑顔を見たかどうか判らぬが、此方を向いて



「Aさん、賢治も居るか。丁度良いな」

別段荒い息では無いが、其の声にも矢張り少し焦りが混ざっている気もしなくも無い。


カツカツと歩み寄る国木田に私は首を傾げた
帰れる訳ではなさそうである。


「お帰り国木田」
「、只今戻りました」

色々と順番も、表情の変わり具合も可笑しい。


しかし私は座ったまま国木田を見上げた。
が、
国木田が説明し始める前に、ほんのり不満そうな声が



「虎が出るんだろう?与謝野さんは奥に居るよ」

そう云うと、カチャン。と椅子を後ろに引いて江戸川は立ち上がった


「まあ、必要は無いと思うけどね。行くよA」



「へ?あ、?うん」




全く話は繋がらないが、虎探しに関するなら其は多分仕事であるので。


「Aさん、場所は十五番街の西倉庫です」
「あ、うん」


本当に全く話は見えてこない。
見えてこないが、迷い無く歩く江戸川を追っておけば間違いないだろう。



辺りはもう暗く成っている。

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作者名:きゅういち | 作成日時:2019年1月19日 16時

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