二味違う ページ5
「あーあーあー、江戸川ーじゃないけどー、ひーまーだーなあーーーっ」
べたあー。っと机に両腕を置いて私は云った。
珍しく今日は丸一日仕事が無かった。と云うか、午前中に全て終わらせてしまっていた。
午後は暇すぎて、賢治くんと私と谷崎兄妹と双六までやってしまう程暇だった。
まあ、だから谷崎兄妹は帰ったのだけど。
だからと云って私は帰る気には成らなかった。何故ならまだ国木田と太宰が依頼の為、探偵社に帰ってきていなかったからだ。
太宰は置いておいて、流石に国木田が仕事中なのに帰るのは一寸申し訳無いと思ったのが悪かった。
完全に帰る機会を逃している。
「あー、机の掃除はやったし、床も窓も磨いたしー、あーえー、んー。」
「じゃあもう掃除するところは無いですか?Aさん」
「うーん。無いねー。賢治くんが思い付かないなら、無いね」
「そうですか。うーん、じゃあ無いですねー」
「だよねー」
外はだんだんと暗さが増して来て、もう帰っても良いかな?なんて意志が完全に真反対を向こうとしている。
まあ、待つのは別に良いのだけど。
一番問題は
「ねーA。帰んないの?」
江戸川である。
「国木田が帰ってくるまで待つって云ってるじゃん」
別に普段から一緒に帰ってる訳ではないが、私と江戸川は一緒に帰る事が多い。
理由はかなり明確で、帰る前に何か食べて帰る事が多いからだ。
肉饅だの、鯛焼きだの、駄菓子だの。
もうそういう習慣だから仕方がないのだが、何かしら食べて帰る事が多いのだ。
だから、江戸川も其を気に入ってごく稀に「今日はどうしようかな」と、考えてることが多い。
どうやら今日もそう云う気分の日らしく。
「僕もうお腹空いたんだけどー!」
「一人で帰れば良いでしょじゃあ」
喚く江戸川の机の上には駄菓子の包み紙が詰まれているがそれは最早日常で。
「僕今日は軽目焼食べたいんだけど!」
「昼間に駄菓子屋で買ってくれば良かったでしょ其は!」
どうやら今日は軽目焼を御所望な様で。
国木田が帰って来ようが来まいが、今日は軽目焼を買って帰る事に成ることが決定した。
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作者名:きゅういち | 作成日時:2019年1月19日 16時