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八味違う、弐 ページ37

「私を迎えに来てくれたの?急に優しく成ったの?江戸川」

へらへらしながら立ち上がって、乱歩とAは向き合った



黒い外衣のお陰でAが腹から血を出している様には見えない。が、鼻のいい者は血の臭いを嗅ぎとってしまうだろう



与謝野はニヤニヤしながらAを見ているが、何も無い。晶子ちゃんを喜ばす事なんて何も無かった。とAは笑みを絶やさなかった






乱歩がAと話を始めたので、与謝野は敦を見て訊く

「そう云えば敦、あんたは如何だったンだい?Aの仕事ぶりを見たんだろ?」
「・・・、ええ、っと・・・凄かったです。」


なんと表せば適切なのか判らず、敦は一言呟いた


「てっきり穏便で戦闘には関わりの無い人だと思っていたので・・・」



まさか大の男五人も相手に出来る女性だったなんて思わなかった。と複雑な表情ではにかんだ敦に与謝野は軽く頷いて


「だろうねェ。見た目詐欺だと思わなかったかい?」
「少し・・・」
「普段は無邪気に甘いもの食べて、書類泣きながらまとめて、乱歩さんと一緒にいるから拍子抜けするのは当たり前だね」


妾も未だに思うときがある。と苦く笑った




敦は社の奥深さの一片を見た気がして口をつぐんだ





























「随分偉くなった心算じゃないか」
「否、否、否〜、やっぱり江戸川には敵わないなァ!!」



立ち上がって服の袖や外衣に着いた埃を払いながら、Aは首を振った


これは(マズ)い事になった


もはや逃げることは不可能に近い!!


と彼女の内心荒れに荒れまくっているが、顔に出ないよう努める



「しかも、私を迎えに来るなんて今日の江戸川は優しいなあ!!!」



叫ぶ度に脇腹が痛み、バレるかどうかで緊張している所為か、血がどんどん減っているのが判り気が遠くなりかけた



そんなAを嘲笑するかの如く(ごとく)


「どうせAは怪我すると思ってたからね」


乱歩の言葉にAは本格的に泣きそうになった

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作者名:きゅういち | 作成日時:2019年1月19日 16時

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