七味違う ページ26
目を見開いたが、その先の景色は遮られた。
彼女が蹴り上げた机によって。
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「林A。よろしく」
「あ、中島敦です。」
ペコリとお辞儀して少し笑ったのは噂の新人虎少年君こと、敦くんである。
何度か姿は目にしたことはあったが、話すのは始めてに近い。
今日の依頼に補助として付いてきてくれたのだ。
国木田曰く『勉強の為』らしい。
「いやァ、私のとこで学べることなんて・・・うーん、無いと思うよー。」
列車も一人で乗れない私から何を学ぶというのだろうか。
そんな事〜、と笑う敦くん。うちの未成年組は死ぬほど善い子しか集まらないらしい。嗚呼、素敵だ。
「そういえば、江戸川とはもう仕事行ってたよね?敦くん」
「え、あ、はい。仕事と云って善いのか判らないですけど。僕何もやってないですし。」
何とも云えぬ表情で私を見るが、それを私は笑い飛ばす。
「そりゃ江戸川宛の依頼だしね、誰が行ってもそんな感じだよ。彼奴の独壇場なんだから」
いつもそうだしね。そう云って社から持って来た飴を口に入れる。
「江戸川はあんな感じだからさ、考えても判らない私達皆が滅茶苦茶滑稽に見えてるんだもん。しかも元の頭も善いからムカつく。」
余裕綽々で私を莫迦にする江戸川を思い浮かべて、私は顔をしかめる。
その様子を見て敦はぱちくり、と目をしばたかせた。
「ん?どうしたの?」
「あ、否・・・、なんでも無いです」
敦くんは首を振ったが、なんだろうか。
やはり目の前で江戸川の異能力を見て、尊敬の念にかられているのいるだろうか?
他の社員と同様に
ああ、絶対に付け上がるぞ。あいつ!
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作者名:きゅういち | 作成日時:2019年1月19日 16時