五味違う、肆 ページ23
「よかったのかい？A」
「なに、っうお・・・が？」
崩れそうになった資料、冊子を押さえながら、Aは振り向く
与謝野はまだ湯気のたつ珈琲を一口飲み、Aを見かえした
「乱歩さんに同行させるのが敦で。って話だよ」
当たり前じゃないか、と与謝野は云った。それに少し首を傾げて
「ああ、それは別に大丈夫じゃない？
ただ」
「ただ？」
「新人君が大丈夫かは心配だよね。だって相手は江戸川だし」
冊子と紙束を仕分けながら、Aは苦笑した
実力があるから江戸川の態度は見逃されているが、それを知らない新人君には少し、否、かなり面倒な相手になるだろう______
だって、江戸川だし。
一部壊れた椅子を見て溜め息をつく
「それに、怪我なんてしない、しない所へ上手く行くからね。」
なんて、少し困った様に笑い、また片付け始めた。
まだ幼さが残っている、と云っても問題ない印象を受けるそんな後ろ姿を見て与謝野も小さく息を吐く
＿＿＿＿そういうのは判ってるから質が悪いねェ
自分が付いて行かずとも、乱歩は何の問題もない事をAは知っている。
一緒に行っても行かなくても、江戸川は上手くやる。(人間関係は知らない)
それは気がついているのだ。
そして、それなのに自分が自分の意思で乱歩に付いていっている事も、同様に。
だが、それなのに
それが何故か。
とは気がついていないのだ。
自分が何故一緒に行くのか、とは
見た目だけ子ども？否、それはどうだろうか
まあ、それはAに限った事では無いのだが。
＿＿＿＿似た者同士かねェ
あどけなく笑う彼の事を思い出して、与謝野は矢張り苦く笑った
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作者名：きゅういち | 作成日時：2019年1月19日 16時
