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四味違う、弍 ページ18

「なるほどね」


こちらに戻った江戸川の瞳に真実が見えた。
そういう顔だし、江戸川の異能力はそういうものだ。



だから、もう私は別の事に目を向けた。




いつだったか、警察内に犯人がいて江戸川に襲い掛かろうとしたことがあった。
大事には至らなかったが、注意するに越したことはないだろう。



だが、不審に動く者はいないようだ。


「犯人は、この男だ」



出された写真の一枚を江戸川は指差した。


当然かの如く笑った江戸川だが、捜査陣は困惑した様子である。

それも仕方ないだろう。だってその男は容疑者にするには色々と不都合の多い男だ。





だが、きっとそんな事一瞬でひっくり返るのだろう。


全員が驚き納得する真実があるのだ。



いつだか江戸川は云っていた。

『赤子なのだから救ってやるのだ』

と。

彼の見えている全てはやはり度を越えて現実と事実ばかりで、判ることは出来ない。




だが、


それでも良いと

否、

そんなの当然知ってるから。当たり前だから。

と、私に手に饅頭を一個くれたこともあったな。


そんな事を思い出しながら、江戸川の見えた真実に耳を傾けようとまた江戸川を見たが



「、」

丁度、バチリ。と音がしても良いほど綺麗に目が合った。



眼鏡(レンズ)越しに見える瞳



余所見をするなんて江戸川らしくはないが、そこで思いもよらぬ事が起きた。








だってまさか思わない。






いつも愉快気に事件の真実を見抜くだけの江戸川が、









こちらを向くなんて。









しかも、目が合ったうえに









目を細めて微笑んだ。









そんな事だれも考えないし、思いもよらない。









江戸川なら判ったのかもしれないけれど。

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作者名:きゅういち | 作成日時:2019年1月19日 16時

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