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四味違う ページ17

「ふうん」


江戸川は特に何でもなさそうに刑事の話を聞く。

つらつらと述べられるその言葉は事件の詳細である。



いつからだろうか。私がそれを聞かなくなったのは。
否、別に事件の内容を知らない訳ではない。


被害者の方や、現場の状況や名前、容疑者、そしてその状況はしっかり把握している。
だが、事件を解決する上で、一般人が聞くことのない事細かな状況は聞かない。

『聞かない』というよりは『聞いても意味がない』に近い。


だって私が詳しく聞き、訪ね、考えたところで江戸川が眼鏡を掛ければ一瞬で真実を抜き取ってしまうから。


だから、北陸まで来たとしても、依頼は一瞬で終わるものだ。





私は少し離れたところからその様子を見る。



刑事達が数人立ち並び、その中心あたりに江戸川が立つ。


今、何も知らない人間がこの状況を見たら。よく判らない光景だと云っても可笑しくないと思う。




そう云われても仕方がないほど江戸川は浮いていた。




辺りに一般の人間がいないから、いるのは背広を着た人間か、警察の制服を着た人間ばかりなのだから当然だ。

それに、江戸川の顔立ちと振る舞いが少し幼いのも原因であるのも判る。




まあ、それは私も同じ・・・というか私の方がきっと浮いているのだろうけれど。









江戸川が懐から黒縁の眼鏡を取り出す。

ニイ、と愉快そうに笑って眼鏡をかけた

「『超推理』______ 」


シン

辺りが静まり返ったのは江戸川が黙ったから、という理由も最近は考える。

息をのむ音まで聞こえる気がする静寂はたった数秒だが



「「「、、、、、」」」


その数秒にも耐えられないかの様に刑事はそわり。と動く。


だが、そんな事、江戸川は見てるのかどうか。
見つめる眼鏡(レンズ)に映る景色や考えはきっと誰にも理解されることは無いんだろう。

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作者名:きゅういち | 作成日時:2019年1月19日 16時

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