敬語系実況者5【最終兵器俺達】 (ページ48)

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経緯を知った店長は警察へ通報。暴れるのかと思ったが、警察に連絡された事を知って、床に座り込んでずっとなんでとか、どうしてとか、ブツブツ言っていた。

Aも俺も警察から事情聴取を受けて、終わったのは3時間後だった。Aは疲れ果てて、タクシーの中で眠っている。

そりゃ、あんなことがあったんだから、疲れるのも無理ないだろうな。

マンション前に止まってもらい、Aを起こして中への入っていく。

「キヨさん、今日はすみませんでした……」

ｷﾖ「俺は全然大丈夫、とりあえずゆっくり休めよ？」

「はい、失礼します」

Aはゆっくりと部屋に入っていった。俺も自分の部屋に戻り、渡し損ねたドーナツをテーブルに置く。

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それから、Aに異変が起きた。1週間、2週間と何も無い様に見えたが、ある日突然Aが俺の部屋に訪れた。それも、泣きながら。

ｷﾖ「どうしたんだよ、なんか嫌なことでもあったのか？」

「実況が……実況が出来ないんです」

ｷﾖ「えっ？実況が出来ないってどういう事だよ」

「実況しようとして、マイクの前に座っていざゲーム画面を見ると、動悸と吐き気がしてきて、声が出なくなって」

ぽたぽたと泣き始めるAの姿。見たことがなかった、Aがこんなにも弱音を吐いて泣くなんて。俺はそんなAの姿を見て、ギュッと締め付けられる。

そして俺は手を引いて、Aを抱き締めた。

「キヨ、さん？」

ｷﾖ「俺がこうしたかったから」

俺がそう言うと、Aは静かに俺の腕の中で泣いていた。慣れない手つきで背中を優しくさする。

落ち着いたAにゆっくり話を聞くと、アイツの事なんかよりも、自分がゲーム実況出来なくなった事による恐怖の方が大きいという。

自分が知らない間に、自分の全てを知られていた事も、全てがAにとって恐怖でしかない筈だ。

警察に聞いた話だが、アイツはAの写真を5000枚近く持っていたらしい。家の中には、壁中に貼り付けられていたという。

ソファに座って俯くA。

ｷﾖ「A、飯食ってんの？」

「最近食欲が落ちてて……」

ｷﾖ「バカ、食わねぇとダメだろ、よし俺がなんか作ってやる」

結果、チャーハンを作ったが少し焦がした。我ながら慣れてないもんだなと思い口を開く。だけどAは美味しいと言って食べてくれて、嬉しかった。

ほんと、優しい奴。