70.目覚めればそこに ページ23
・キヨ
【数年前】
Aが大学生として最後の正月を迎える年。来年の春からは俺達と同じく上京する事になっていた。同じ土地に居る訳ではなかったので、Aだけ個人実況が多く、イベントとなるとAが北海道と行き来している状態。
疲労を一番抱えているのは、多分にしてAだろう。俺らは新しい土地に慣れ始めた頃だけど、まだまだ苦労する事もある。
キヨ「A! はい、お土産」
「わっ、毎年ありがとうございます!」
年末に帰省して、Aにお土産を買うというのが恒例になった。甘い物が好きなので、Aの好みに合わせて買ってくるんだけど、いつも喜んでくれてその顔がなんとも言えないくらいに可愛い。
キヨ「ついにAも来年卒業か〜」
上京先では味わえない雪の感触を楽しみながら、Aと隣同士で歩いていた。
「やっと卒業です(笑)」
キヨ「大変だったろ、大学とバイトと実況の掛け持ち」
「でも、楽しかったですよ。忙しい生活するの(笑)」
キヨ「お前らしい答えだな(笑)」
忙しい生活を楽しいって思えるAは、凄いと思う。俺なんてあっちでの生活にまだ慣れてないってのにさ。
キヨ「上京する事、よく優弥先輩許してくれたな」
「まぁ、説得するのに半年かかりましたけど(笑)」
キヨ「でも、楽しみだな」
「早くみんなと実況したいです(笑)」
そんな話をした数ヶ月後、大学卒業したA。最俺メンバーで卒業サプライズ。4人で大学に行き、優弥先輩と連絡を取り合いAを驚かせた。
4人「A、卒業おめでとう!」
「えっ、えっ、来てくれたんですか!?」
スーツ姿のAは、実況イベントで出る時のスーツ姿とはまた違った姿だ。既に手には溢れるほどの花束を持っていて、俺らからも花束を渡す。
優弥先輩に言われ、5人で写真を撮った。
・
メンバーとは毎年正月一緒に帰る。今回隣はAが俺の隣に座っていた。片耳イヤホンしながら、パソコンを使うA。
キヨ「編集?」
「ギリギリまで残してたのがあって、最後の編集です(笑)」
実は年末年始忙しくなる中、Aは優弥先輩の手伝っていたらしい。なので、ゲーム実況の方が遅れてしまっという訳だ。
キヨ「眠ぃ〜」
「到着まではまだまだですから、ゆっくり寝て下さい」
キヨ「うん」
目を閉じると微かに聞こえるキーボードを打つ音が、ある意味心地良かった。
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作者名:明 x他1人 | 作成日時:2019年12月26日 13時