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22.正々堂々、敵対して ページ10

・A





【高校時代 A1年】





いつから春樹兄さんとこんな風になったかは忘れてしまった。ただ分かるのは、私は敵対されていてもう二度と仲良くなる事は無いだろうという事。





「Aちゃん、おかえっ!? 何その傷!」



「ちょっと喧嘩しちゃって」



「まさか、春樹?」



「違います」





顔を合わせれば口喧嘩、ついには手を出されて。何でと問い掛けてもムカつくから、なんて曖昧すぎる答えが返ってきた。











「Aちゃーん! おはよう……その傷どうしたの?」


「んーちょっと、ね」




友人も不審に思っていた。私自身喧嘩をする様なタイプではなく、中学生の時、剣道と合気道を習っていたので、武道を習っている人間として喧嘩は好きじゃない。





「最近怪我多くない? もしかして、彼氏とかにやられてるとかじゃないよね?」



「あはは、そもそも彼氏居ないよ(笑) 大丈夫だって、ありがとう気にしてくれて」



「当たり前でしょ!」




なんというか、日々に疲れてしまっていた。春樹兄さんに絡まれる度に、春樹兄さんの友人まで加担して来る。兄さんには言える訳もない、怒らせたら今度は春樹兄さんがどうなるか分からない。





そういうズルい人間にはなりたくなかった。





それに心の支えは沢山あった。弟や友人や先輩達、好きなゲームやドラムなど。






「A、ちょっとツラ貸せよ」


「嫌です」


「いいから来いよ!」


「痛っ!」




校舎裏で金を貸せと言われる事も度々。貸した事は無い、いつも隙をついて逃げてきた。こんな姿誰にも見られたくないなーなんて考えていた時。





コースケ「A? 何やってんのお前ら」



「っ__こーすけさん!?」





こーすけさんが心配そうな顔をして私を見ていた。春樹兄さんは誰かにバレるのを恐れていたので、すぐに逃げていく。





コースケ「何あいつら、ちょっと大丈夫? A」



「大丈夫です、いつもの事ですから」



コースケ「いや、いつもの事って……お金とか取られてるんじゃないの?」



「いえ、取られたことは無いです。こーすけさんって、たまに鋭いですよね」





友人や先輩に心配かけて何やってるんだろう、そんな風に考えていた。

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作者名: x他1人 | 作成日時:2019年5月19日 18時

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