敬語系実況者【最終兵器俺達】

◇ ページ15

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「すみません」





元カノは嘘の情報を流した張本人。Aには強く言えないのか、グッと言葉を飲み込んだ。





「フジさん、私は先に行ってます」





俺の手を離して歩いていくA。





「フジくん、もう戻れないのかな」





俺に問い掛けてきた元カノ。だけど俺の答えはもう決まってる。





ﾌｼﾞ「ごめん、戻る事は出来ないし、戻ろうとも思わない。せめて、Aに嘘をついた事謝ってほしかった。Aは問題に関係ないし」





俺は元カノから離れてAを探した。Aは椅子に座って、ボーッと遠くを眺めている。





ﾌｼﾞ「ごめん、1人にして」



「大丈夫ですか？」



ﾌｼﾞ「うん、大丈夫」



「ご飯どうしましょうか」





俺に背を向けるAに、ついあの時の事を掘り返してしまった。





ﾌｼﾞ「あの時の事、何回謝っても謝り足りないと思ってる。無関係なAを巻き込んでしまって、本当に申し訳ない」




「フジさん、私はもう気にしてませんよ」





気にしない筈がなかったんだ。あの時のネットの反応はAを傷付ける言葉だけが並んでいたから。もちろん、そんな事ある筈ないと信じてくれる人も居た。






動画で謝ったあの時、Aも頭を下げた。俺、何でAにまで頭を下げさてるんだろうって。






「確かにあの時は色々な状況変化がありましたけど(笑) でも、今こうして一緒に実況出来てるんですから、良いじゃないですか。もう自分を責めないで下さい！ さっ、ご飯食べに行きましょう」






優しいって言葉だけで済まされる性格じゃない。周りを見ていて、いつでも誰かに手を差し伸べてる。こんなにもいい子に出会えたのは、きっと幸せな事だ。





・




「うわぁ、辛そー」



ﾌｼﾞ「ん？ どうしたの」



「見て下さい」




Aの目線の先は、激辛ラーメンの看板。Aは辛いものが大の苦手で、普段も辛いものを食べるとすぐに涙目になってる。




ﾌｼﾞ「辛そうだね、わさびは大丈夫なのに、こっち系ほんっと駄目だよね」




「そうなんですよ。いつか企画の中で、辛いもの系が来るんじゃないかってビクビクしてます(笑)」




ﾌｼﾞ「そう、だね(笑)」





ごめん、A。企画じゃなくて、君へのドッキリとしてメンバーで計画している事実があります。






今だけ忘れておこう。

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