77.離れて分かること ページ3
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思っていたよりも、自分の中で大きな出来事だったのかもしれない。1週間、2週間と時間が経つにつれて自分の体に異変が起きている事を突きつけられていた。
一番最初に気づいたのは、声の出にくさだった。声が出ていない気がすると思って、後から編集する為に動画を確認すると声が出てないことに気付く。
その事がきっかけで、ゲーム画面を開きマイクの前に座ると、また声が出ないんじゃないか、もし出なかったらどうしようと考えれば考える程、動悸が起きてくるように。
出来なくなるのが悔しくて、ゲーム画面を見るだけで吐き気がしてくる様になった。
そんな中でも実況をして、終わったと同時に体力の消耗が激しくベットに倒れ込むの繰り返し。自分の実況を見てくれている人達が薄々気付き始めているのも、コメントを見て知ることになる。
どうしよう、このままじゃ絶対ダメだ。実況が出来ないなんて、そんなの絶対に。
そんな気持ちを持ったまま、私はパソコンの前に座った。だけど、やっぱりダメだ。
私はどうしていいか分からず、キヨさんに相談しに行った。けど、そんな自分の弱さが情けなくて、キヨさんの前で泣いて迷惑をかけてしまう。
止めなきゃと思う度に溢れてきて、キヨさんに状況を説明したら、手を引いてキヨさんが抱き締めてくれた。最初はびっくりして、戸惑ってしまったけどキヨさんの腕の中でまた静かに泣いてしまった。
落ち着いてから、キヨさんにご飯はと聞かれ、最近食欲が落ちて、と説明するとキヨさんがチャーハンを作ってくれた。慣れない手つきで作ってくれたのは知っている、けど自分に作ってくれたという事が嬉しくて、少しだけ感じる苦味も美味しさに変わった。
キヨ「毎日の様に繰り返してたのか」
「毎日、パソコンの前に座っては吐き気と動悸の繰り返しで……」
キヨ「だったらさ、少し離れれば?」
「離れる?」
キヨ「一日中パソコンのある部屋に入らないで、他の事すんの。お前はストックも用意してるだろうし、実況から物理的に少し離れてみろよ」
確かにそう言われると、私はパソコンのある部屋に入らないという日がなかった。毎日の様に実況と編集の繰り返し。それに対して苦痛だと思ってしまうなら少し離れてしまうのも悪くないのかもしれない。
「キヨさんの言う通りにしてみようと思います」
キヨ「おう」
私はキヨさんにお礼を言って自分の部屋に戻る。
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明(プロフ) - ちまさん» ちま様 一気読みしていただけるなんて、とても嬉しいです! 引退をかけた勝負の回はどうやったらハラハラする感覚を小説で表現できるのだろうと悩んだ部分なので、褒めていただけて光栄です。 面白いと言って下さりありがとうございます。これからも頑張ります! (2020年5月10日 11時) (レス) id: f2c90cc64b (このIDを非表示/違反報告)
ちま - 1から一気読みしました!!!!!めちゃくちゃ面白いです!!アキちゃんの引退をかけた勝負は読んでいて自分も生放送見てる気分なってました!続き楽しみです! (2020年5月10日 6時) (レス) id: b0d560efb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明 x他1人 | 作成日時:2020年3月4日 14時