恋が始まる気がしない！ (ページ2)

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『…』

個室がどこも空なのを確認して、鏡台に手をつく。

『あああああもう！もっと優しく言えないの？いいよもうコピー機なんか全部壊しちゃっていーの！ジミンきゅんなら許す！』

大きめの声で叫んで、頬をペチペチと叩く

『怖い顔しない！ほんとは思いっきり甘やかしたいんだよ…ううう…』

あんな上目遣いでごめんなさいなんて
そんな、そんな…

『……かわいすぎる。好き。大好き』

『よし。』

一通り大きな独り言を言ってトイレを出た途端
誰かにぶつかって尻もちをついた。

『ちょっと、危ないでしょ！』

JM｢ぶ、部長！ごめんなさい…大丈夫ですか？｣

…やっべ。

よりによってジミンきゅん…

まさか、さっきの聞こえてないよね？

冷や汗が背中をたどっていくのが分かる。

差し出された手。むちむちしてる。

握りたい掴みたい揉みしだきたい！

『…いいから、まわりちゃんと見なさいよ』

自分で立ち上がって服を整える。

行き場を失った手をぎこちなく引っ込めて、もう一度謝ってから去っていく。

『あー…なんで握らなかったんだろ』

後悔先に立たず

こんなんじゃ一生嫌われ役だ。

｢何を握りたかったって？｣

『っ…社長、』

前を向くと立っていた、社長のミンユンギ。

私の漏れた心の声をしっかり聞かれていた。

『聞き間違いじゃないですか？』

YG｢あぁそう。そういやこの前の件だけど…｣

どうでもよさそうに話を変える。

社長であり、私の直属の上司であり、

…元彼である。

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