Part13 ページ14
▽
時間はあっという間にすぎ、今日はなるせさんが私の家に来る日。
お茶もお菓子もきちんと用意してある。
あとは彼が来るのを待つだけ…。
心臓がドキドキ鳴っているのが自分でもわかる。
やっぱり緊張する。
ピンポーンっとチャイムがなった。
身だしなみを軽く整え、玄関へ向かう。
『はーい』
扉を開けると、彼が立っていた。
なるせ｢久しぶり｣
優しく微笑む彼。
やっぱり好きだ。
なるせ｢やっぱり？｣
『あ…ううん、なんでもない。久しぶりだね』
また口から出ちゃったみたい。
ほんとに気をつけないと。
なるせ｢俺どんな傘貸したっけ？｣
『えっとね、これかな』
なるせ｢あーそれそれ。ありがと｣
『ううん、こちらこそ貸してくれてありがとね』
なるせ｢じゃあもう行こっかな｣
彼は玄関の扉に手をかける。
私は呼び止めるように彼の服の裾に手をかける。
つい体が動いてしまった。
『あの、上がって行かないん…ですか、？』
＊
『お茶持ってくるからちょっとまってて』
なるせ｢全然気使わなくていいのにwありがとう｣
彼のいるリビングを後にし、キッチンへ向かう。
あのなるせさんが私の家にいる……。
その事実が今頃になって心に来ている。
夢のように嬉しい。
キッチンにしゃがみ、込み上げてくる喜びを抑え込む。
なるせ｢nagiさーん、お手洗いって……｣
こちらに向かってきたなるせさんと目が合う。
なるせ｢え、体調悪い？大丈夫？｣
私と目線を合わせるようにしゃがみ、顔を覗いてくる。
心配そうに眉毛を少し下げている。
ああ、そんな顔も
『好き……』
なるせ｢ぇ｣
『あ、』
また声に出てしまった。
しかも今回は言い逃れも何も出来ない。
なるせ｢えっと、nagiさん。今のって…｣
『な、なんでもない！』
リビングに逃げ込む。
だが彼も追ってくるため、意味は無い。
ソファの上にあるクッションを前に出し、顔を隠す。
今は見られたくない……。
なるせ｢なんでもないわけないでしょ｣
なるせ｢お願い、顔見せて？｣
優しい声でお願いをされる。
『い、いやです…』
なるせ｢じゃあそのまま話聞いてくれる？｣
『…うん』
私は静かにして彼の話を聞くことにした。
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作者名：ゆり | 作成日時：2024年1月1日 12時
