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「次々…。あった、ここ！セキュリティー面ではバッチリやと思う」
先程の物件よりも少し値段は上がり、先程の物件よりも更に職場から遠くなるが、オートロック、モニター付きインターホン、監視カメラ、管理人さん…セキュリテー面で考えればバッチリだろう。
「ここも駄目やな」
「なぜ」
「お前早起き苦手やん、後先考えてみ。毎朝寝坊で解雇やで」
おかんか！と叫びたくなったが、私のことを心配してくれているんだろうと思い、口を閉じる。
「ていうか、不動産屋行けば聞いてくれるんやないん」
「ちらっと、調べて行ったんだよ。治の家から、右に曲がって左に行ったところの」
「いやアバウトすぎやろ」
「ジロジロ見るのも、って思って。サイトで取り敢えず探してみようって思ってたんよ…。世の中そんな甘くないね」
はぁ、とわざとらしく盛大な溜息を零すと、治がぐでっと仰向けになる。
「あ〜〜」
「ウワッ、びっくりした、調子でも悪いん？あ、クッキー食べよ」
私が毎日食べたいくらい好きなクッキーは、毎回治の家に訪れる度持ち込んでいる。
袋を開け、ちらっと横を見ると口を大きく開けた治が待っていた。
「ほっ、ナイスキャッチ」
治の口に、狙いすましてクッキーを投げ入れる。
「うま…ていうか、あかん、腹空いてきた」
先程までへにょっとしていたのに、突然、治は起き上がる。忙しいなと思っていると、バラエティ番組がCMに切り替わり、美味しそうなラーメンが写し出された。
「この時間帯にラーメンのCMは罪すぎるやろ〜！」
「確か、インスタントラーメンが棚に…」
ラーメン…と、と治の方を見るとバチリと目が合う。直感で、これは、じゃんけんやな、と拳をつき出した。
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作者名：湯 | 作成日時：2020年4月14日 22時
