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─ 最愛の ” 彼女 ” の誕生日。
この年に一度の特別な日を彼女と一緒に、2人きりで過ごしたい。
彼女の誕生日を知った時からずっと、そう考えていた。
でも、彼女にとって俺は浮気相手で…っ、しかもその彼氏はそらるさんで。
だから、無理だと思ってた。
…けど、ある時、とても重要な事を思い出して俺の中で名案が浮かんだ。
それは……
俺達が こういう関係 に進展したキッカケ。
〈 そらるさんの、彼女であるAへの優先順位の引くさ 〉
彼女はそこに不安や寂しさや苛立ち、不甲斐なさを抱き、俺の元へ飛び込んできた。
…コレを利用しない手はない。そう確信した。
そして、俺の目論見は華麗なまでに成功の一途を辿り…
「ここのフレンチ、美味しかったね」
「うんっ、すっごく美味しかった!
とってもお洒落だったしねっ」
俺は今…彼女と最高のひとときを共有している。
ホテルの部屋に戻る為に廊下を歩きながら、なんて事ないでもとても幸せいっぱいな会話を交わす。
…勿論、手はしっかり恋人繋ぎで。
彼女は美味しいご飯を食べて満足気味だけど、でも…この後もまだまだ彼女へのバースデーサプライズは待っている。
食事の間に部屋にはケーキとプレゼントの用意と、部屋自体もバルーンや花で可愛くして装飾して貰う様にホテルのスタッフさんに頼んでおいた。
今日を、彼女の人生で1番の誕生日の思い出として心に刻み込んで貰う為だけにかなりの時間を費やしてきた俺には…一点の抜かりもない。
「後数時間だけど、少し部屋でゆっくりしようね」
「だね」
まぁ…本当はゆっくり、なんてさせるつもりないけど。
息つく暇もない程に繰り出される俺からの怒涛の彼女への愛情に、心弾ませて欲しい。
そして、願わくば……
─ 彼女であるAを粗略に扱い続けているそらるさんを完全に捨て、俺のモノになってくれれば…これ以上の幸せはない。
「まふくん?鍵、開けてくれる?」
「あ、ルームキー持ってるの俺だったね。
ごめん、すっかり忘れてた」
忘れてなんかない。
ただ、扉を開けた後の喜ぶ彼女の姿と実現して欲しい幸せな未来を想像してた、だけだ。
ピッと、カード式のルームキーをかざすとロックが解錠されドアを押し開け、彼女を先に部屋に入れる。
その瞬間、彼女から聞こえたとても可愛らしい歓喜の声色に俺の口角は自然と上がる。
「えっ…?!何これ!すっごい可愛い…綺麗っ!」
─ ひとまず、作戦大成功。
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なの(プロフ) - 本当に本当にありがとうございます。感謝しかないです…こんなに素敵な誕生日は初めてです…ホントはもっと早く送りたかったけどずっとチキってました。すみません…みんな大好き!! (2021年11月14日 1時) (レス) id: d994763904 (このIDを非表示/違反報告)
らむちゃ - すごい好きです(((*≧艸≦)ありがとうございます! (2021年10月13日 20時) (レス) id: def79cd7ab (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 大好きな作者さまたちの最高の作品でした。本当にありがとうございました。 (2021年10月4日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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