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さっきも考えてた通り、ある程度は予想していた。
でも…これは……
「…凄すぎ、」
想 像 以 上 。
東京1の超一流ホテルのスイートルーム…?!
まふくん、張り込みすぎだよ…っ。
ここまでされると、逆に申し訳なさが先にたってしまい、扉のすぐ前で立ち尽くしていたら、
「ほら、A早く中入ろ?」
って、私の手を引いてくれる彼に連れられ奥に進むとそれはそれは広くて。
…私の家よりも広くて、綺麗で、全ての物が高そうで。
そして、その高そうなガラスのローテーブルの上にはアイスペールに入れられた高級シャンパンとフルーツが用意されていた。
「とりあえずシャンパンでお祝いしよっか」
大きなソファーに身を寄せ合って座り、本日2回目の彼からの「お誕生日おめでとう」の言葉と共にコルクが抜かれた。
その後軽くグラスを合わせ、飲み始めると、このやけに豪華な部屋には見合わない穏やかな時間が流れる。
「今日の夜はね、このホテルのフレンチにしたんだけど、いい?」
「うん。フレンチなんて久しぶりだぁ」
「まぁ、普段食べないもんね。
あ、因みにここチェックアウト22時なんだよね。
そのあと、どうする?帰る?」
「んー、明日は仕事だから帰るかなぁ」
「わかった。じゃあ帰りもちゃんと送って帰るね」
「ありがと。まふくんは?お仕事大丈夫なの?」
「全然大丈夫っ。Aと一緒に居る為なら仕事なんて、二の次三の次だよ」
「…っ、」
彼のその言葉が痛く胸に刺さり、私の心情は先程と打って変わって穏やかではなくなる。
─ そらるさん…っ。
彼女の私より仕事や他の事を優先する彼氏。
そして、その寂しさを十二分に埋めてくれる浮気相手…まふくん。
そんな浮気相手な彼と、1年に1度しかない自分だけの特別な日を過ごしてる私。
今更ながら、この現状はかなり人の道を逸れてる事で誰が1番の悪者なのか?という不毛な事が頭に過ぎってしまう。
「A。今、そらるさんの事考えてたでしょ?」
「え…っ、」
「せめて今日くらいはさ…俺の事だけ見てよ。
他の事は考えないで?
俺との2人だけの時間、楽しもうよっ…ね?」
硝子とグラスが綺麗な音をたてた後…さっきより一層、グッと近付いた2人の距離。
ナチュナルに私の頬に添えられた彼の手に、更に熱く視線が絡まる。
「A…好きだよ。ほんと、 俺だけのモノ になってくれたら死んでもいいくらい、」
「…まふくんっ、」
「いいよ。何も言わないで、」
次の瞬間、彼によって奪われた唇。
─ とても濃い、アルコールの匂いがした。
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なの(プロフ) - 本当に本当にありがとうございます。感謝しかないです…こんなに素敵な誕生日は初めてです…ホントはもっと早く送りたかったけどずっとチキってました。すみません…みんな大好き!! (2021年11月14日 1時) (レス) id: d994763904 (このIDを非表示/違反報告)
らむちゃ - すごい好きです(((*≧艸≦)ありがとうございます! (2021年10月13日 20時) (レス) id: def79cd7ab (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 大好きな作者さまたちの最高の作品でした。本当にありがとうございました。 (2021年10月4日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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