【まふまふ】白くて黒い【そらる】

Coffee 17 ページ17

思わず講義室を飛び出してしまった。





『はぁ、はぁっ、……』





どこかいい場所は、と考えて真っ先に思いついた女子トイレの中に駆け込み、個室に入って鍵を閉める。



やばい、やばい。



そらるさん、絶対変に思ってる。



走ったからかどっくんどっくん心臓が音を立てて目の前がちかちかとした。





＿＿＿＿＿＿「いつまでも縋ってないで、堕ちていいんだよ？」






まふくんの言葉が脳内でこだまする。



そらるさんとは違う声のトーン。


手の温度。


手の大きさ。


顔ももちろん違うし。


髪色だって正反対。




私はそらるさんのことが好き。


でも、そらるさんは？



私のことを好きだと言ってくれない人を追いかけるよりも、無条件に自分を好きになってくれる人を追いかけた方が幸せなのではないだろか。




大人ってわけわかんない。

いつも余裕な顔をしてこっちだよって私のこと犬みたいに手招いてる。



だったら、一緒に大人になってくれるまふくんといた方が。





……なんて、私はそらるさんと付き合ってるのに。






ぷるるるっとポケットでスマホが鳴ったので誰からかだけ確認しようと起動させる。


ディスプレイには " まふくん " の文字。


電源を切ろうと思ったけれどふっと指が誤って通話ボタンを押してしまった。


切るのも面倒で、取り敢えずスマホを耳に押し当てる。




「あ、出た。もしもし？Aちゃん？」



『……』



「もしもーし、もしもーし！」



『……うるさい、』



「ああ聞こえてた。そらるさんめっちゃAちゃんのこと見てたよ」





音質の悪いまふくんの声が耳に響く。


周りがガヤガヤしていて、おそらく講義室ではない。


……まふくんも、講義室飛び出したの？





『……いまどこ？』



「今食堂！取り敢えずそらるさんはいないからおいで？どうせトイレとかに閉じこもってるんでしょ」






今まふくんの元に行ったら、本当に堕ちちゃうのに。


分かってるのに。




個室からゆっくりと出て、食堂へと足を進めた。

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