対象外

３３ ページ33

.




あの後すぐに試合が始まって
終わってみれば5-3でライオンズの勝利

鬼門ヤフオクで勝てたことは選手からしてもファンからしても嬉しいことだろう

…それに、今日の5点は全て森さんの打点だ

こんなことって、本当にあるのかな



「いやー、森友哉大活躍！Aのおかげ！」

『私のおかげなんかじゃ、』

「あれ、気づいてないの？森友哉が打席はいるのにこっちまで歩いてくるときチラッと見られよったこと」

『は？！』

「うわ、気づいてなかったんや」



そんなことなかった
私はずっと、ちゃんと、森さんを見てた

だけど、そんなこと



「それをさ、森友哉に伝えたらいいやん」

『え？』

「さっきのは半分嘘で半分本当…まあ、とりあえずヒルトンへゴー」

『いや、待ってなんでヒルトン？』

「いいからいいから」

『ちょっと！』



この先の展開は何となく読める
きっとあつきは私と森さんを会わせようとしてる

…背中を、押してくれてるのかな、



.



あつきに連れられるままにやって来たのはヒルトンの駐車場
…ここ、って



「はい！これもって、」

『なに、これ』

「あー！見たらいかん！けど、これを森友哉に渡して」

『…あつきが渡せば』

「だーめ、Aが渡すと！」



中に何が入ってるのか気になる気もするけど、
隣にあつきがいる以上見たら怒られそうだからやめとこう

…そうこうしているうちに、少しずつ選手がこちらへ向かっているようだった

３４→←３２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す