その瞬間まで

Bs8 駿太 ページ15

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『行け！走れ！Go 駿太！』



頑張れ、駿ちゃん。



駿ちゃんとか呼んでるけど、
身内でも、知り合いでもなんでもない

ただの、ファン



駿ちゃんに初めて声を掛けたのはいつだっけ、





.





『どうしよう…由香、やっぱり無理だよ…』

「またそうやって逃げるの？何回目よそれ。」

『だって…』

「差し入れ渡すだけじゃない、大丈夫だって、」

『他人事だと思って…』

「だって他人事だもん、」





確かにそうだよ、差し入れ渡すだけ

でもさ、緊張するじゃん
大好きな選手に渡すんだよ？

それに、受け取ってもらえないことだってある、





「あ、A、駿太来たよ！」

『えっ、ちょっと…どうしよ！』

「駿太さん！…ほら、がんばって、」




何も出来ない私の代わりに、
あのとき由香は駿ちゃんを呼んでくれた、




『あっ、えっと…』

「緊張、してます？」

『あの、すみません…』

「いえ。僕も緊張しますもん、お互い様ですね、」




駿ちゃんも緊張するんだ、緊張してるんだ
同じ人間なんだって当たり前のことをこの時は思ってた





『あっ、あの！これ！良かったら、貰ってください、』

「え、ありがとうございます！嬉しいです、」

『…これからも頑張ってください！応援してます！』






それが二年前のこと、

あれから二年か…






「おーい、A？」

『駿ちゃん！』

「今日の俺見てた？ねえ、見てた？」

『ふふ、見てたよ。かっこよかった、』





今では、大切な大切な人です、







( いけ、はしれ！Go 駿太！ )

( 俺まだ歌えないんだけどそれ )

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