その瞬間まで

E5 茂木栄五郎 ページ11

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『栄ちゃん、』

「ん？」

『助けて、勉強分かんない、』

「ふふ、また？しょうがないなあ、」




幼馴染のお兄さん、
今ではプロ野球選手、

すっかり遠い存在になってしまった、




『…なんで、こうなるの、』

「これは、…って、ちゃんと計算した？」

『したけど、ならないの、』

「A、ここで計算間違えてる、」

『…あ、』




会えるのは関東に遠征のときだけ、
そして何故か毎回栄ちゃんが来るのはテスト期間中

いじめ？いじめなの？

本当は栄ちゃんとのんびり過ごしたいのに、




「…A？」

『…え、あ…ごめん、』

「ちょっと休憩しようか、」





やる気がないと思われちゃったのかな

のんびりしたいとは言ったけど、
ほんとは栄ちゃんと一緒なら何してもいいの




「…今度、さ」

『ん？』

「…何処か遊びに行こう、A、」

『…え？』

「勉強ばっかじゃつまんないでしょ、」




ううん、そんなことない




『栄ちゃんと一緒なら、何でもいいの
勉強でも、栄ちゃんがいるからそれでいいの、』

「…そっか、でも、」







“ 俺がAと出掛けたいの、だめ？ ”






栄ちゃんは小悪魔だったようです、






( 勉強の続きしようか、)

( …ねむい、 )

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