扉の先はブラック本丸でした。 (ページ7)

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6話ページ7

『えーっと。つまり⋯、私はその審神者ってのの適性があって？勝手に連れてこられて？命狙われるやろうけどこの本丸とやらの付喪神を助けろと？』

こ「そういう事になりますな！」

なんかこの本丸の前の審神者がヤバいやつで暴力と暴言のオンパレード。更には無理やり⋯。
⋯⋯考えたくもないな。
まぁそんな訳で話の内容はだいたい理解出来た。

⋯私がもう元いた場所に戻るのが難しい事も。

『でもその付喪神達も人嫌いなんやろ？』

こ「もしかして…助けてくださるのですか！」

驚いた顔でそういうこんのすけ。

『なんで審神者になって欲しい言うとる君が驚くんよ⋯。』

こ「いえ、ヤケになって殴られるぐらいあり得ると思っていたので⋯。」

『私そんな事するように見えとるん⋯？…まぁどうせ帰られへんのやし…、それに親に困ってる奴は助けろ言われて育っとるしな。』

そういうと「素晴らしい教えですね！」と目を輝かせながらこんのすけは言う。

『まぁまずは薬研。』

薬「ん？どうした大将。」

『手入れしよか。方法知らんけど。』

こ「本来は手入れ部屋で行うのですが…。まぁ良いでしょう。相手に触れて霊力を流し込めば良いですぞ！」

『成程成程⋯。』

言われた通り手をつかもうとすると、薬研の手がピクリと動いたのが見える。
少しかがんで目線を合わせて、顔色を伺うと少し青白く、冷や汗をかいている。心做しか身体も震えているように見える。

この姿を私は知っている。

この姿は、この目は…恐怖に怯える目だ。

『すまん。怖いよな。沢山酷い事されてきたんやもんな。手入れはまた今度にしよか、薬研がやってもいいって思える時に。』

そう言ってなるべく怖がらせないように笑った。

人間なら既に死んでいてもおかしくは無い。そんな姿の奴が隣にいると少し落ち着かないが、ここは本人の意思を尊重すべきだろう。
主として認めてくれても、そう言っても過去は決して消えはしない。私はそれをよく知ってる。
今日が初めましてなのにこんな事言うのおかしいかもだけどさ。

私はいつまでも待つよ。薬研の気持ちが落ち着くまで⋯。そしてその“落ち着く“為の手伝いを私にさせてくれると嬉しい。

⋯なんて小っ恥ずかしい事、直接は言えないけどさ。