午前零時の哀歌

バカ．15 ページ15

リスカの事バレちった



でもそんな事はどうでもいい



無駄なこと考えずに 今はただ 久しぶりに愛機に乗ってんだから楽しもう



私の愛機 Kawasaki ニンジャ 650 黒と赤のカッケェバイク









...バカなことしたな



アイツの事言われただけでカッとなってしまった



これで嫌われたかな



最悪だ



みんなは私の事1人にしないって言ってくれたのに 私の方から1人になるような事して





今 怒っているだろう




『無意識でここに来るなんて...救いようのねぇバカだな』



着いたのは とうに人なんていなくなったマンション



バイクを入口の近くに停め 中へ足を運ぶ



5階建てのそのマンションの階段は少し頼りなくて 歩く度にミシリと音が鳴る



そして辿り着いた




彼女と過ごした思い出の場所




暇な時はここに来て 2人でずっと話してた



扉とは反対の位置に行き 壁に腰掛ける



そしてポケットからタバコを取り出し火をつける







だが3口程吸ったところで ポツリ ポツリ と雨が降る



やがて大雨となり 雨は私もタバコも濡らした



タバコはジュッと音を立て火を消した



『ははっ...吸うなってか』



体はズルりと下に行き 腰の半分程が壁に着いていない状態になった



『...零愛............』



『なんで...先に逝っちまったんだよ』



雨とは別の雫が頬を伝う



やがてそれは大粒となった



声を殺して泣く



『零愛......零愛ぁ...』



泣かないと決めたのに



涙はダムが壊れたみたいに溢れてきた








ここは廃ビル しかも大雨 こんな所に誰も来るわけがなかった



だから 私が泣いてるのは誰にも分からない



はずだった









零愛は 私の[ ]だ。

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