午前零時の哀歌

歌．11 ページ11

ワァっと拍手が上がる



果てには奏者がこちらに来て今日一緒にやってくれと頼みに来た



A姉は根がいい人だから必死に頼まれると断れない



『...はぁ わかりましたよ』



｢じゃあTikTokで人気の曲のメドレーとかで平気ですか？｣



『はい』



『エマ さっきの約束忘れんなよ？』



エマ｢もちろん！｣



小さくため息をつき、ピアノの近くに胡座をかく



奏者と目を合わせ歌い始める



『♪ 今日から君の好きなとこ1日1個伝えよう 365回ドキドキさせちゃうぜ ばっきゅーん♡ 他の子を見たり、携帯ばっか見たり、君だけ見てるよ 偉いのご褒美は？ ちゅー』



やるからにはガチと言っていたA姉は、ダンスをやっていたこともあり、即興で振り付けを考え 歌いながら踊る



『♪ 僕は君の太陽になりたい そしたら僕が雨を振らせない 君は泣きたい時に泣いてもいい 僕がその涙に虹をかける』



キレイな声で ゆっくりとした振り付けで



『♪ ブルマとランチとか行きたいねInstagramのストーリーにさ 載せたりして あの子に嫉妬なんかさせてみたい Flex Flex Flex』



かと思えば かっこよく キレキレな振り付けで



『♪ ...この声が 枯れるくらいに 君に好きと 言えば良かった 会いたくて 仕方なかった どこにいても 何をしてても』



次は 優しく後悔するように 滑らかな振り付けで



『♪ はい どーぞ しゃがれ声 ダミ声 喘ぎ声 産声 泣き声 笑い声 アニメ声 鼻声 おしゃま声 叫び声 かすれた 君の声 あ"』



しっかりと狂ったように 挙動不審な振り付けで



周りには人だかりが出来ていた



『♪ ...天上天下 繋ぐ 花火哉 万代と刹那の出会ひ 忘るまじ 忘るまじ 忘るまじ 我らの夏を』



大人っぽく 振り付けは大きく、控えめに



『♪ 声を辿って何光年だ 延長線に消えていく このままパッと忘れられたら 楽だろうな 触れられないのに 見えてしまって どうしようもないやいや 近くて遠い 貴方だ 理解ってるよ あーそれでも逢いたいな て何度も ループ ループする 心が貴方で鳴っている それだけが確かだ
それだけでいいよ』



私は後ろに居る人達の存在に気づいている



いつ行くんだろ



その時観客から｢立って踊って欲しい｣との要望があり、気分がノッていたA姉は素直に立ち上がり、ダンサーとしての実力を思いっきり出した

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