ボナペティ！【ALL】 (ページ45)

今日:2 hit、昨日:39 hit、合計:73,412 hit

◇ ページ45

「…遅いよ」

とりあえず、喘ぐ息の合間に不満をもらしたら、Aは眉を落として

『ごめん、色々あって。連絡もできなかったから、心配したよね』

現実？

俺はノロノロと手を上げて、Aにテレビ画面を指さしたら、Aは、ん？って感じで振り返って、大画面で映される事故の情報を見た。

『は？イ・A？？』

俺の視界で、かわいいはずの横顔が、思いっきり不審と驚愕に変な感じに歪んで、素のAがひょっこり顔だした。

あ、これ現実だ。

そう思った途端、腹筋だけで起き上がった俺にAはびっくりして一瞬後ろに引いたのを、両手を伸ばして抱きしめた。

温かい。

柔らかい。

いいにおいする。

Aの、匂い。

もう、永遠に会えないかと思ったよ。

『グク？これ…わ、私じゃないよ！！！』

「…だね。なんか…俺めちゃくちゃ疲れた…」

グス、って鼻が鳴る。

ひらひらのAのワンピースの肩がどんどん濡れてって、その肩に顔押し付けてる俺はちょっと気持ち悪い思いしてる。

でもそれ、俺が濡らしてるんだからどうしようもない。

『ああ…！！ほんと、ごめんなさい！！グク…！！！！こんなの、ああ～～～！！ショック受けたよね？違うから！これたぶん、説明できるけどちょっと待って…』

ショック受けたなんてもんじゃないよ。

危うく俺も死ぬとこだよ。

目からなんか、色んなもんが溢れ出して、泣いてんだか口から吐くかわりに目から何か吐きだしてんだかよくわかんない。

とにかく、口は嗚咽と呼吸で忙しいし、鼻からも目と同じくらいの量の液でるし。

でも、腕の中のAはただ、暖かくて。

生きてる。

Aは、大丈夫。