君が好きだと泣いたから。

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風磨side.









風磨 「A。」


抱きしめたまま、名前を呼べば、
腕のなかの君がビクッとするのがわかる。




風磨 「俺はね、好きだとか、付き合うだとか…」

自分の腕を俺の背中に回していいのか、だめなのか、
わからない君の腕は迷っている。




風磨 「正直考えたことなかった。」

俺のその一言に、
迷っていた君の腕が完全に止まる。









・









風磨 「だから、その気にさせてよ。」


そう言って、君から手を離せば、
真っ赤になった君の顔。




どうしたらいいか分からず、
困っている君を愛おしく思う。









・









冗談のつもりで、
俺の頬を自分でつついて見せれば、






次の瞬間、
背伸びした君が俺の肩を掴む。







ちゅっ。

と、小さなリップ音が聞こえて、
俺は驚いて頬に手を当てる。









A 「どーだっ！」

少しはにかんだ君が無邪気に微笑む。









・









君には敵わない。





『その気にさせてよ』

なんて言いながら、
もうその気になっている俺は、





したり顔で笑う君の隙を狙う。









・









手で君の頭を押さえて、唇が触れる。


A 「…っ。」


君が目を見開くまであと数秒。









・









君の笑顔が好きだ。大好きだ。


だけど、笑顔だけじゃこの恋は始まらない。









・









・









ーーー君が好きだと泣いたから。ーーー






・

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