Fear (ページ29)

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北「いきなり、どうしたの。

…慎太郎」

慎「いやあ、ごめんごめん。」

そう言って顔の前で手を合わせる仕草をする慎太郎

平日の昼下がり
慎太郎にカフェに呼び出された

慎「あ、こないだごめんね、

Aとデート中だったんでしょ？

いやぁ、お邪魔しちゃった。」

あの日

かかってきた電話は慎太郎から

内容は、今度遊びに行こうのような取り留めもないこと

……ただ。

俺はその電話で

Aを樹のもとに連れていくことをやめた。

慎太郎からの電話は

まるで神様が俺に止めろ、
と言っているように感じて

なんらかのお告げみたく思えてきて
気づいたらAを樹に指定された方向とは逆に連れていった

あれ以降樹からの連絡はないし、
俺も樹に連絡していない

…突然バックれた俺を樹はどうするのだろう

漠然と不安になる

慎「…くと、北斗？」

北「あ、ごめん」

慎「ボーっとしてた？てか聞いてた？」

北「いや、ごめん、聞いてなかった。」

聞いとけよー、なんて慎太郎は
自分の頼んだアイスコーヒーのストローをくるくる回しながら伏し目がちに笑う

ぶつかる氷どうしが
カラン、カランと音を立てた。

目線はアイスコーヒーに注がれたまま

慎太郎は俺に問いかけた

慎「単刀直入にいうけどさ

北斗は……

Aに何するつもり？」