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次の日、バイトにでると
伊藤Aはいなかった。
元々シフトが入っていない日だったらしいが、
昨日のこともあるので、少し不安になる。
声をかけるまで少し待ちすぎたか…？
樹の昨日の言葉を反芻する
＿あげる所まであげといて、一気に突き落とす。
だったら、と思い
バイト終了後、伊藤Aの家を訪れる
ちゃんとエントランスにインターホンがある
警備万全なマンションに少しの緊張を覚えながら、
昨日彼女がさりげなく教えてくれた
部屋番号を押す
♬〜
北「A、北斗だけど、いる？」
『北斗、どうしたの？』
北「今日、休みみたいだったから。
具合悪くないかなって。」
『ん、心配してくれてありがと。
今開ける。』
開いたエレベーターに乗り込み、
彼女の部屋に向かう
部屋の前でもう一度インターホンを鳴らすと
扉の中から
いつもより少しラフな格好の彼女が出てきた
「バイト終わり？疲れてるのに来てくれたの？」
北「まあ、でも心配だったし。」
「そっか、ありがとう。
でも、もう大丈夫だよ、平気。
あーなんなら上がってく？
コーヒーくらいなら出すよ。」
実はと言うと、少し喉が乾いていた。
顔を見たら帰るつもりだったが予定変更
北「じゃあ、お言葉に甘えて。」
意外とシンプルな室内だった。
必要なものと、少し飾り気がある程度。
1つだけ置かれた写真立てに飾られていたのは
昨日の封筒に入っていた男とのツーショット
確か名前は……森本慎太郎。
唯一の幼なじみだっけな。
北「A、これ彼氏？
俺家にあげてよかった？」
これは勿論知っている上での質問
これを見て
聞かないのもおかしいし。
「あーそれ、幼なじみ。
慎太郎って言うの。」
彼氏なんていないから心配しないで、
と付け足した
出されたコーヒーを飲みながら
世間話をしていると
夜の気温で冷えた体が少し温まった
帰り道を歩きながら
彼女といて自分がどこか安心していることに
気がついた
不思議な感覚だった
一緒にすごして、心地よいというか
夏の日陰の風のようなイメージ
すっと心を通り抜けて
いつのまにか心の中で大きな存在になっていた
この感覚が何かよく分からない。
見上げた黒い空には、
いつもの様に月はなく
街のネオンだけが煌々と煩かった
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作者名：朔 | 作成日時：2020年5月9日 13時
