水の中の花火2 (ページ10)

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51：ほとぼりページ10

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映画が公開された。

ジミンさんとの記事が出て数ヶ月は経ったというのに、
ほとぼりが冷める気配がない。

生放送の音楽番組で
BTSが映画の主題歌を歌う前に
主演2人からの応援メッセージを見る。

そうなればまた世間が騒ぐのも一瞬だった。

ユナオンニは断りの連絡を入れたらしいが、
上の意向で結局出ることになり、
私は少し、落胆した。

世間を煽る時だけ、良いように使われる。

"一緒にいなくても同じ画面に映ってるのきつい"
"あんなことしてBTSさんって普通に言える神経がわかんない"
"ビビが話し出したら少し悲しそうな顔するジミン"
"ジミンあからさまじゃない？"

「はぁ、」
「A？……SNS見ないって約束したよね」
「…今回は、気になって」

毎日のように知らない番号からかかってくる電話。
事務所にはファンレターと称し暴言が大きく書かれた紙が届く。
家の周りで何となく感じる目線。

自分が傷つけられるのは、我慢できる。

「ジミンさんは、何も悪くない」

瞼に腕を置いて上を向く。
ユナオンニは私の隣に腰かけて
そっと肩を摩った。

「…きついな」

好きな人が傷つけられるのも。
何もできない自分も。

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