水の中の花火2 (ページ8)

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49：大人ページ8

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その事についてAに謝罪すると
「グクは何も悪くないじゃん」って笑っていた。

「表でAとのこと話すの控える」
「それはそうして笑」

ジミニヒョンは時々、Aの様子を聞いてくる。
だから俺は無言でAの写真を送って
ヒョンの方を見ると、
それはもう本当に、誰にも見せられないような
だらしない顔をする。

でもAには絶対言わない。
嬉しがっても悲しがっても、どっちだとしても、
俺はそんな姿、見たくないから。

「グクは好きな人いないの？」

自分でスプーンをもって
お粥を食べだしたAは純粋無垢な瞳で、
「いまさらだけど」と俺にそんなことを聞いた。

「いるよ」
「…まぁそうだよね。グクも大人だもんね」
「なんだよそれ笑」

みんな、いつの間にか大人になる。
意識的にではなくて、ふと、そう気づく。
頑なに譲れなかったものを簡単に手放せたり、
自分だけだと思ってたものが、そうではなかったり。

そうして痛みになった時、
勝手に、俺たちは大人になってしまうんだ。

「人を好きになるって、苦しいね」

今にも泣き出しそうなAに
俺はなんて言えばいいのか分からなかった。

Aはいつまでも、
俺の前だけ弱さを見せればいいって、
俺が見えないところで傷つかないでって、
こんなことを言ったらAがどんな顔をするのか
今の俺には分からなかったから。

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