fin：水の中の花火 ページ32
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「Aちゃ、」
「A！」
「グク！」
名前を呼ぼうとしたジミンさんの声に
被ったグクの声。
「ヒョン邪魔」なんて言って
ジミンさんを押し退け
私の目の前まで走ってくる。
「Aすっごく綺麗だよ」
「ありがとう」
「あぁ、世界一可愛い」
「ふふ笑褒めすぎだよ」
「…ヒョン、やっぱり攫ってもいい？」
「ダメに決まってるでしょ？
式の日にそんな物騒なこと言わないで？」
次はジミンさんがグクを押し退ける。
そんな2人をみて私はふふっと笑って。
「…A」
「ん？」
「ふふ、結婚おめでとう」
「ありがとうグク」
そう言って満足したように
控え室を後にするグク。
グクの後ろ姿を見て
伝えきれない感謝を
心の中で伝えた。
グクが救ってくれた私の人生を
私は宝物のように大切にして生きていくって。
「妬けるな」
「え？」
「その顔、僕見たことないから」
不貞腐れたように
頬をわざとらしく膨らませてるジミンさん。
「…本当、誰にも見せたくないくらい綺麗だよ」
ジミンさんの言葉は魔法だ。
私の心をぎゅっと掴んで、
心臓の音を速くさせる。
そんなジミンさんだけが使える魔法。
1歩近づいて、
ジミンさんは私の手をとる。
「やだな、言葉にしたら
本当に誰にも見せたくなくなってきた」
「…抜け出します？」
「っ、もう本当にAちゃんは…」
ジミンさんの胸の中。
「愛してるよAちゃん」
「私も愛してます」
おでこを合わせて、
何度も確かめた
愛の言葉を交わす。
ジミンさんの唇がゆっくり
私の唇に近づき重なると
私は一筋、涙を落とした。
.
水の中で燃える、花火のような恋をした。
苦くて、時々甘い、
ジミンさんと私のお話。
fin
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作者名：cino | 作成日時：2023年10月22日 0時
