72:一番星 ページ31
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「ソラちゃんは独りじゃないよ」
小さな手を握り締めた。
「だってここに来てくれたから」
私はソラちゃんより
ほんの少しだけ、
大人だからわかるんだ。
独りだと思ってしまう時は、
大抵自分が目を伏せていること。
「何かあったらここに戻ってきて。
ここが、ソラちゃんの特等席」
ぽんぽんと、今座ってる場所を叩いて
ソラちゃんに笑いかけた。
すると本を私に預けて
ソラちゃんは1歩、輪の中へ踏み出す。
絶対に大丈夫。
この本の男の子みたいに、
あなたを見つけてくれる人が
いつか必ず、目の前に現れる。
.
全身を包む、純白のレース。
「A…綺麗だよ」
「ユナオンニ泣くの早いよ笑」
今日は私とジミンさんの結婚式。
大きな会場は借りなかった。
ジミンさんはギリギリまで
本当にいいの?って
私を気遣ったけど、
これがいいって、そう伝えた。
式場の代わりになった私の施設。
控え室でドレスを身に纏う私を見て
式も始まってないのに
大号泣するユナオンニ。
そんな姿に笑っていると
コンコンとドアが鳴る。
ドアが開き見えたのは
タキシードを着た
私の愛する人。
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作者名:cino | 作成日時:2023年10月22日 0時