水の中の花火2 (ページ4)

今日:18 hit、昨日:16 hit、合計:31,718 hit

45：この先ページ4

・

ぼーっとソファーに座って
夕日が落ちて行く空を眺めていた。

私の心の中を現したような無音の世界に
無機質な着信音が流れて、
ディスプレイに表示された
1番愛しくて、
今1番、話したくない人の文字。

「Aちゃん」

その声を聞くだけで泣きそうになった。

何とか声を振り絞って返事をすると
ジミンさんはいつもみたいに
今日あったできごとを話し始めた。

起きたら変な寝癖がついてたとか、
なくしていたお気に入りのリングが
なぜか今日見つかったとか。

そんな、いつも通りの会話に
私はもっと胸が苦しくなる。

「…ジミンさん、夕日見てますか？」
「うん、見てるよ」
「今度、この夕日が落ちるギリギリまで見えるところ
一緒に行きたいです」
「…うん」
「温かい飲み物持って、2人でシェアしましょ」
「はは…うん、そうしよう」

明日もまた、こうして他愛もない話をしたい。

みんなができる普通の恋を、
私も、ジミンさんとしたい。

「Aちゃん、」

「…はい」

「僕はAちゃんのこと、
少しでも幸せにしてあげられたかな」

「、私はジミンさんのそばにいれることが幸せです」

「それは、嬉しい」
「…僕はねAちゃんと見たイルミネーションが
僕が今まで見てきた景色の中で1番綺麗だった」

「私も、です」

「たぶんね？この先もずっと、
1番って感じた時に僕の隣にいるのは
Aちゃんだと思う」

・