69：愛の形 ページ28
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私たちを阻むものは無かった。
それは夢にまで見た、
私とジミンさんの2人だけの世界。
「僕の愛は、Aちゃんの形をしているんだ」
ジミンさんが紡ぐ言葉がだいすき。
「もしAちゃんが僕を傷つけても、
僕はその傷すら愛おしいって、君を愛すよ」
全部、ぜんぶ、
だいすき。
ジミンさんの指が私の手からすり抜ける。
行く先は、ジャケットのポケットの中。
たった少し離れることも惜しんだ
その手に咲く、小さな箱。
「Aちゃんがそばにいてくれるなら、
僕はもう何もいらない」
リングの先の小ぶりなダイヤは
私の視界が滲むせいで
より輝いて見える。
私の左手の薬指にはめられた
私とジミンさんの、永遠。
「僕の一生、貰ってくれる？」
私だけを思って吐き出されていた言葉が
最後の最後で不安を彩る。
それがどうしようも無いほど愛おしかった。
心配しないで。
私の心は、
出会った時からジミンさんのもの。
ジミンさんを優しく抱き締める。
ジミンさんの体の方が大きいのに、
首に顔を埋めてそれに応えるジミンさんは
少し、小さく感じた。
「ジミンさん」
と、そう呼ぶ。
「愛してます」
ありきたりだけど、
ただ、それだけだった。
今この瞬間、世界が終わるなら
私の最後はきっと誰よりも幸せだと思った。
夕日が作る、私たち二人の影が重なる。
離れた唇が
狂おしいほど甘かった。
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作者名：cino | 作成日時：2023年10月22日 0時
