水の中の花火2 (ページ27)

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68：阻むものページ27

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体が勝手に動いた。

「Aちゃん、」
「会いたかったです」

勢いよく抱き着いたのに
ジミンさんは私を軽々と受け止める。

久しぶりに生で聞く
ジミンさんの声。

オレンジブロッサムの香りが鼻をくすぐる。

ふと我に返って体を離そうとすると
強い力でそれを拒まれる。

「もう少しだけ」

抵抗できるわけがなかった。

ジミンさんは
まるで、私の存在を
自分自身に刻むように強く深く
私を抱きしめた。

ゆっくりと体が離れる。

心が先走って頭の中を何も整理できてない私に
ジミンさんは申し訳なさそうに
それでも、口角を少しだけ上げて
「待たせてごめんね」と、そう言う。

「事務所とはちゃんと話つけた」
「…はい」
「メンバーがって言うか、ほとんどジョングガが
僕とAちゃんのこと上と掛け合ってくれたみたいで」
「…グクが」
「白熱して、じゃあ辞めますって」
「え、」
「流石にやばいって
ほかのメンバーも宥めたみたいなんだけど、笑」

グクはほんとに、感情に素直すぎて
たまに心配になるよ。

はぁ、とため息をつく。

ジミンさんはそんな私を見て
少し微笑んでから
真剣な眼差しを向ける。

柔らかいけど、
ちゃんと私より大きな手が
私の手を包み込んだ。

「もう、絶対離さないって約束する」

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