65：昔の君 ページ24
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ジョングガから渡された紙には
ある住所が書いてあった。
「初めまして」
それはAちゃんが育った施設の住所だった。
ジョングガが日程を組んでくれていて
僕がその施設へ足を運ぶと
施設長が僕を出迎えてくれた。
初めて来たのに、
なぜかそこら中にAちゃんがいるような
そんな温もりを感じる。
施設長が施設内を案内してくれる中
おもちゃやピアノが置いてある
大広場に足を運んだ。
「Aちゃんだ」
大きな棚に飾られてる数々の写真。
その中で目に入った写真には、
幼い頃のAちゃんが写っていた。
「他の写真も見ますか？」
「はい。見たいです」
食い気味で返事をした僕に
施設長は少し笑って、
分厚いアルバムを取り出してくれる。
アルバムの中には、
些細な日常を切り取った写真や、
何か行事ごとをしているような写真。
所々写っているジョングガの隣には
必ずAちゃんがいて、
何も変わらないその姿が面白かった。
そんな中、ある写真が目にとまる。
「この写真、」
「…Aは、いつも傷ついてる子に1番に寄り添う子でした」
そうして施設長が話してくれたこの時の出来事。
それを話す施設長はまるで、
自分の子を自慢する
母親のような顔をしていた。
きっと、施設長は
そんな優しいAちゃんを誇りに思っているのだろう。
記憶が蘇ってくるように
Aちゃんとの日々が頭に浮かび上がる。
「僕の大好きなAちゃんだ」
そう僕が声に出すと
施設長は嬉しそうに
でも切なそうに笑った。
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作者名：cino | 作成日時：2023年10月22日 0時
