水の中の花火2 (ページ22)

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63：決断ページ22

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沢山考えた。

僕だってAちゃんのためなら
なんだってできるって思ってる。

でもジョングガのそれは、
本当に、なにもかも捨ててでも
Aちゃんを取るその覚悟がある
ということなのだろう。

僕はそれに、答えを出せない。

まだ僕は全然弱いのかな。
でも何も諦めたくない。
ステージの上に立つことも、
好きな事を全力で全うすることも。

でも、Aちゃんは
誰にも譲れないんだ。

それだけじゃ、ダメなのかな。

ぼーっとすることが増えた僕を
テヒョナはすごく心配していた。

その優しさが今の僕には少し痛かった。

レッスンの休憩中、
床に座っていた僕の隣に
ジョングガが腰を下ろす。

「俺の言ったことダメージ受けすぎです」
「…受けないやついるのかよ」
「はは、たしかに」

ふとジョングガの方を見た。
笑っているのに、
なぜか寂しそうな顔をして
「すみませんでした」なんて。

「…どうした？」
「Aのこと、本当に大切にしてくれますか？」

揺れることなく絡み合う目。

「大切にするよ。何よりも」

そう言うと緊張が解けたように
ジョングガは顔を緩ませて
僕の方へ手を伸ばした。

「ここ。行ってください」

「Aのこと、幸せにしなかったら呪います」

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