水の中の花火2 (ページ3)

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44：きみのためページ3

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「だから、きっと私にしか言えないから言わせてください。
この記事が出たら、
世間からバッシングを多く受けるのは絶対Aです」

アイドルという職業と女優という職業の大きな違い。

ファンという境界線がしっかりあるかないか。

アイドルはファンが沢山いてくれるから成り立つ。
だからこそ、応援する熱量は
きっとどの職種にもいるファンより高く
母数も多い。

プロデューサーたちが言いたかったことはきっと、
Aちゃんを取るか、
ファンやメンバーを取るか。
その二択だった。

「Aの事を大切に思ってくれているなら、
Aのための最善策を考えてください、」

きっと、Aちゃんは
僕が居なくても幸せに生きていけるんじゃないかって、
Aちゃんの優しさや、
温かい笑顔を思い出すとそう思う。

…でも、僕は、

「Aちゃんのこと、僕が幸せにしたかったんです」

電話越しに聞こえる、鼻をすする音。
僕もそれにつられて涙が溢れそうで、
顔を上に向けて続きを話した。

「僕はAちゃんに出会えて本当によかったです。
それはきっと、この先ずっと変わらない」

胸を張ってそう思える。

するとハンさんは
「本人に直接言ってあげてください」
と言って、では、と電話を切った。

僕は声が出なくなるまで泣いた。

Aちゃんと話す時は、
いつも通りの僕でいられるように。

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