水の中の花火2 (ページ18)

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59：ヒーローページ18

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「俺はAにいつも笑顔で幸せでいてほしい」

月明かりに照らされるグクの瞳は
今目に映る世界の中で1番綺麗で、目が離せない。

「その理由を、俺が作りたかった」

グクは、眉を下げて笑う。

潮風が私たちの間を割くように吹いた。

「俺はヒーローなんかじゃない」
「っ…グク、」
「ずる賢くて、ただの嫌な男だよ」
「ちがう、」
「違くない」

「だって、」と口にして、
ふわりとグクの手が宙をかいて私の手を取る。

「このまま連れ去りたいって本気で思ってるよ、俺」

真っ直ぐ揺れない瞳。

グクは一体、どれだけ傷ついてた？

「泣かないでA」
「…グク」
「泣かせたかったわけじゃないんだ」
「、わかってる」

気づいてたとか、気づいてなかったとか、
そうじゃなくて、
私達はこうなんだって、思い込んでいた。

「Aのそばにいれるだけで、俺は幸せだったよ」

いつもそう私の気持ちを先に汲み取ってグクがくれる言葉は
「大丈夫だよ」ってそう言ってるようにも聞こえて。

子供のように泣き崩れる私を
「最後だから許して」
と優しく抱きしめるグク。

ねぇグク。
あなたは出会った時からずっと、私のヒーローだよ。

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