水の中の花火2 (ページ17)

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お仕事を休んで
全てのことをリセットしてから、
抱えていたものが一つ一つ無くなっていく。

ユナさんとグクが身の回りの事をほとんどしてくれて、
聞きたいことも沢山あった。

「今はもう何も考えなくていい」

グクが私に言ってくれた。
「何も聞くな」と、そんなふうにも聞こえた。

SNSはもう見ていない。

携帯も新しく変えて
連絡を取っているのはグクとユナさんだけ。

夜の海。
海岸に座ってグクと花火をしながら
海の中で揺れる満月を見ていた。

花火を見たいとグクに言ったら
今日はどこもやってないからって
花火のセットを買ってきてくれて
「今からやろう！」って私を外へ連れ出したグク。

「綺麗だね」
「…うん」

グクは私の些細なわがままも聞き逃さないで
「Aのしたいこと、俺が全部叶える」って
屈託の無い顔で笑って。

「俺はAのためならなんだってできるよ」

ぽつりと、花火の火を見つめながら
グクは言葉を落とす。

「きっと、悪いことも平気でね」

花火の火が消えた。
月の光がグクの横顔を照らして、
混ざり合ったグクの目は、
あの日、私を助けてくれた目と同じだった。

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