水の中の花火2 (ページ16)

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57：背負うページ16

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あれからAはずっと声を押し殺しながら泣いた。
そのまま泣き疲れて寝てしまったAを
俺は朝、Aが起きるまでそばでずっと見ていた。

そうしないといけないって、そう思った。

Aが抱えていた仕事は全て中止になった。

事務所はそれを反対したみたいだけど、
Aの状況を把握していたユナさんが
何とか押しきったらしい。

そうしてAは、決断した。

" 女優ビビ無期限の活動休止を発表！"

突然のできごとに、世間は揺れる。

けれど、その発表を出すまでの道は、
簡単なものではなかった。

ブランドやCMのスポンサーとの契約、
ドラマはキャストの変更、
現在撮影が続いていたものは、
代役を立てたり、立てずに撮影を続けたり、
ビビじゃないならと打ち切りになったものもある。

Aは家も携帯も何もかも新しくした。

「海が見えるところに住みたい」
というAの要望で、
本当は俺の家の近くに住んで欲しかった
なんて気持ちを抑え
片道数時間かけてAに会いにいく。

でも、それで良かった。
Aが笑ってくれるなら。

もう何も考えなくていい。
何にも怖がる必要ない。

俺が全部、背負うから。

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