水の中の花火2 (ページ13)

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54：いつかページ13

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旅行に行こうと誘われて
グクに温泉がある旅館に連れて来てもらった。
結局私もグクも完オフなんて取れなくて、
夕方から集合、次の日のお昼にはお互い仕事に戻る。

でも、こんな日常が久しぶりすぎて
そんな無茶苦茶なスケジュールでもいいかななんて思えた。

グクが取ってくれていた旅館は
業界の方御用達のようで、
私たちが出向いても一切顔色を変えずに部屋へ案内される。

すごく安心した。

最近はずっと緊張感をもって生活していた。
誰かに見られているって、そんな感覚を持ちながら。

「すごく綺麗な部屋」
「A好きそうだなって思って」
「うんすごく好き。ありがとうグク」

そう言うとグクは満足そうな顔をする。

部屋に夕日が差し込む。
外は都会とは違って自然で溢れていた。

夏なのに、ジミンさんとみた
あの冬の、小さなイルミネーションを思い出す。

また2人で行けるかな。
色んなところにジミンさんと行ってみたい。
見る景色も思い出も2人で共有して
幸せすぎて笑ってしまう私に
ジミンさんは困ったように笑って。

「ふふ」

想像するだけで可笑しかった。

思わず笑い声がもれた私をグクは驚きながら見て
でもすぐ、泣きそうな顔をして笑った。

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