男装系頭領は義兄弟の力になりたい！〈短編集〉 (ページ11)

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目線：NO

一ツ目「「お嬢ちゃん、大丈夫か？」なんて具合に。そしたら＿＿」

鴆「そしたら…？」

一ツ目「ソイツ、ワシの肩に手を掛けて来て…」

そこで一ツ目はキツく目を閉じた

ブルブルと首を振り、怯えたような声で続ける

一ツ目「もう…そこから記憶が無いんです。気がついたら道に這い蹲って、ご存知の通り干からびちまってて…」

「女が…女が…」と譫言を繰り返しているところを黒羽丸に見つけて貰い、薬鴆堂まで運ばれて来た、と言うことらしい

唯は腕を組んで唸り声を上げた

鴆「うーん…。しかし、記憶がねぇってのは本当に全くねぇのか？一瞬だけでも良い、どんな姿の妖怪だったか、ソレが分かりゃあ…手掛かりになるんだがな＿＿」

相手は少女の姿のままではなく変身して襲って来たと言うのが唯の勘だった

しかし＿＿、

一ツ目「すいません」

と申し訳無さそうに一ツ目は詫びた

一ツ目「本当に何も覚えていなくて…」

鴆「いや、良いんだ」

強い妖気にあてられたせいで記憶が無くなることは珍しくない

この場合、妖怪だったから記憶の一部喪失だけで済んだのだ

人間ならばﾀﾋんでいた、相手はそれほど強い妖気を持ち主に違いなかった

鴆「色々と聞いてすまなかったな。もう休んでくれ」

唯は一ツ目に言うと腰を上げた