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海人は手を洗い、しばらく私がキッチンで盛り付けをしているのをじっと見ていたが、「恥ずかしいから」と言うと渋々ダイニングテーブルの方へ向かって行った。
そう言えば元太くんもキッチンに立つの見てたっけ。
1つ小さなため息を吐き、お皿をダイニングテーブルの方に持っていく。
携帯を上機嫌でいじる海人の前にお皿を置くと「まじ美味そう」と嬉しい言葉をくれた。
「写真撮ってもいい?」
「いいけど」
そう言うと写真を2枚ほど撮った。
スっと携帯をポケットにしまい、手を合わせ「いただきます」と言う。
美味しそうに頬張る海人は子供みたいだけど、こんなに素直に美味い美味いと言ってくれるのは照れくさくも嬉しい。
なかなか人に手料理を振る舞うことがないから良かったと安心し、自分も料理に手を付けた。
「A、よく料理するの?」
「まぁ、一人暮らしだから人並みには」
「上手いね、俺一人暮らしだけど全くしねぇや」
「いつも外食?」
「そう、外食かUberEATSが多い」
体が基本の仕事じゃないのだろうかと思っていると海人と目が合う。
「また多く作りすぎたら呼んでよ。食べたい」
「ありがとう、じゃあその時は連絡するね」
お米やハンバーグを口いっぱいに詰め込む姿は小動物。
すぐにペロリとお皿は空っぽになった。
私が食べ終わるまではゆっくりとそのままダイニングテーブルで話し、食べ終わると私のお皿もキッチンに下げてくれた。
お皿を洗おうとしたらスポンジをひょいと取られた。
「え、いいよ。座ってて」
「これぐらいやるよ」
「いや」
「だーめ。俺がやるの」
昔はもっと自由な印象だったけど、海人も大人になったんだななんて思う。
洗ってくれるならと、洗い流した皿を拭いて棚に閉まっていく。
「ねぇ、新婚みたい」
「、そうだね」
「あ、言われたことあるんでしょこれ」
一瞬よぎる元太くん。
嘘ついてもなと思い、「違うけど、似てるようなことは言われたかも」と言ったら悔しそうな顔をするから笑ってしまった。
「なんで海人がそんな顔するのよ」
「Aの初めて欲しいじゃん?」
「25だから初めてとか減ってきてるし、難しいんじゃない?」
「えーー、なんかないの?」
「海人が見つけてよ」
一生懸命ブツブツと言いながら、頭を抱える海人を見ているとなんだか笑えてきた。
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ちな(プロフ) - くるみんさん» ありがとうございます〜!主人公ちゃんと同い歳なんですね。ゆったりの更新ですが、ぜひ楽しんでいただけますと幸いです!今後ともよろしくお願いします。 (2021年7月20日 15時) (レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
くるみん(プロフ) - 元太大好きです!元太の4つ上なので嬉しすぎてコメントしちゃいました(笑)これからも更新頑張ってください! (2021年7月19日 2時) (レス) id: ca6f57219d (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - ちゅっじぇさん» ありがとうございます。直接お言葉を頂けることがなかったので、更新の励みになります。少しおサボりしましたが、またゆっくりと更新しますので、また読んでいただけると嬉しいです。読んでくださって本当にありがとうございます! (2021年6月16日 16時) (レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっじぇ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています。続きがすごく気になって、更新される日を楽しみにしています!これからも応援しています。頑張ってください!! (2021年6月16日 10時) (レス) id: 3cc5800027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちな | 作成日時:2021年5月12日 15時