30 ページ30
仕事は締め日を迎えれば少し余裕が出てくる。
先輩たちは飲みに行ったり、合コンをしたりと華やかだが、私はまだついて行くだけで精一杯。
職場の人との飲みはまた今度とお断りして、家で1人料理を作って晩酌をして、早く眠りにつくことが最近のルーティンだった。
買い物袋がガサガサと音を立てる。
冷蔵庫に買ってきたものを片し、エプロンを着けた。
髪を結って、手を洗って、また冷蔵庫を開ける。
今日はハンバーグにしよう。
副菜もちゃんと作って、なんなら今週ずっと食べれるぞってぐらいの量を作ろう。
料理は嫌いじゃない。
料理中は気持ちの整理がしやすい。
疲れると千切りをするという人の気持ちがわかるタイプだ。
ここ1年経たないぐらいの間に色々ありすぎた気がする。
仕事では配属が変わり、海人と再会し、都合よく遊んでいた人は友達の職場仲間。なんなら自分にとっても仕事の関係者。
この年まで遊んでいる私が悪いんだけどね。
彼氏がいたり、いつからか貞操観念が狂って色んな人と関係を持った。その中にはワンナイトもあれば、元太くんのように定期的に会う人もいた。
でも結局どこかその日繋ぎの関係で、ことを済ませば解散。
中には既婚者もいたっけ。
「……ろくな奴じゃないな私」
一瞬止まった包丁をまたリズミカルに動かしていく。
心まで埋まることってほとんど無くて、結局1人だなと思ってしまう時間が多かったが、元太くんとはそんなこと無かったかもしれない。
居心地が良くて、出会い方が違ったら、もっと普通の関係になれたのかな。
ハッとして何考えているんだと頭の中の考えを振り落とす。
何を期待してんだ。
自分から関係を終わらせたのになんの未練があるんだ。
いつまでも引きずっても心に良くないと知ってるし、まして彼は仕事の関係者。
職場に持ち込みたくない。
「……めんどくさ」
お手製のデミグラスソースでハンバーグを煮込んでいるとインターフォンが鳴った。
そう言えば、そろそろネットで頼んだ服が届くはずだ。
夜分遅くまでご苦労様って思いながら、インターフォンできちんと確認せず、扉を開けるとそこに居たのは運送業者の人ではなかった。
「会いたくてきちゃった」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 990人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「TravisJapan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちな(プロフ) - くるみんさん» ありがとうございます〜！主人公ちゃんと同い歳なんですね。ゆったりの更新ですが、ぜひ楽しんでいただけますと幸いです！今後ともよろしくお願いします。 (2021年7月20日 15時) (
レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
くるみん(プロフ) - 元太大好きです！元太の4つ上なので嬉しすぎてコメントしちゃいました（笑）これからも更新頑張ってください！ (2021年7月19日 2時) (レス) id: ca6f57219d (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - ちゅっじぇさん» ありがとうございます。直接お言葉を頂けることがなかったので、更新の励みになります。少しおサボりしましたが、またゆっくりと更新しますので、また読んでいただけると嬉しいです。読んでくださって本当にありがとうございます！ (2021年6月16日 16時) (レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっじぇ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています。続きがすごく気になって、更新される日を楽しみにしています！これからも応援しています。頑張ってください！！ (2021年6月16日 10時) (レス) id: 3cc5800027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちな | 作成日時：2021年5月12日 15時
