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Kaito.N side
いつもより酒を飲んでいるのか上機嫌なA。
御手洗に行ってる間に伝票を見る松倉に「これ、Aの分も」なんて言って多めに渡した。
松倉は2秒ほど固まって「ありがとう」とお金を受け取り、会計へ。
今、ぜってぇ俺とAの関係考えたよな。
残念ながら、出会った頃と変わらず、友達のままで何も言えないのがちょっと悔しい。
Aが戻ると手を取り、「じゃ、松倉また明日」といい店を出る。
Aは「会計は?」と聞いてくるが、「松倉と俺で払ったからいいの」とギュッと手を握れば小声で「ありがとう」と言った。
明るい道に近づくと自然と手が離れる。
Aのそういう気を使えるところ好き。
ちゃんと仕事を理解してる。
居心地もいい。
そう考えるとやっぱり元太には渡したくなかった。
俺のもんじゃねぇけど、俺の方が先に出会って、もう何年も好きなんだ。
仕事終わり、マネージャーに捕まって松倉とAが待つ居酒屋に急ぐ。
個室の扉を開こうとしたら、中から聞こえたのは元太の話だった。
「元太、Aさんとスタジオで会った後ぐらいから酷いんだよ。その前までは落ち着いてたけど、毎日のように違う女の香水の匂いがするようになったし、酷い時には体にキスマークを付けてくる」
俺もそれは思っていて、元太とAが飲みの場で会った以外もなんかあるなと察していた。
Aは何も思ってないのか、平気なフリをしていたが、元太には大ダメージ。大荒れ。
それにずっと引っかかっていたAの首裏のほくろの話。
なんで知ってんだよって思うと少しイラッとして、大荒れの元太には何も言わなかった。そのうち足元すくわれんぞと思いつつ、勝手に自爆してくれるならそれはそれでいいと思ったからだ。
メンバーに少し最低なこと考えていると思ったが、それは本心に近かった。
「Aさん、一回だけでいいからまた会ってくれないの?」
「……会う気は無いし、会っても私には何も出来ないよ」
Aの口からそう聞けて少し安心する。
未練なのかなんなのか分からないが、そういうものがないんだと思わせる発言は俺の背中を押すと同じ意味を持っていたからだ。
俺は居酒屋の扉を開け、「遅れてごめん」と聞いていたと悟られないようにAの隣に座った。
「お仕事、お疲れ」といつもと変わらない顔で声をかけてくれるのが嬉しかった。
やっぱ渡したくねぇなぁ。
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ちな(プロフ) - くるみんさん» ありがとうございます〜!主人公ちゃんと同い歳なんですね。ゆったりの更新ですが、ぜひ楽しんでいただけますと幸いです!今後ともよろしくお願いします。 (2021年7月20日 15時) (レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
くるみん(プロフ) - 元太大好きです!元太の4つ上なので嬉しすぎてコメントしちゃいました(笑)これからも更新頑張ってください! (2021年7月19日 2時) (レス) id: ca6f57219d (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - ちゅっじぇさん» ありがとうございます。直接お言葉を頂けることがなかったので、更新の励みになります。少しおサボりしましたが、またゆっくりと更新しますので、また読んでいただけると嬉しいです。読んでくださって本当にありがとうございます! (2021年6月16日 16時) (レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっじぇ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています。続きがすごく気になって、更新される日を楽しみにしています!これからも応援しています。頑張ってください!! (2021年6月16日 10時) (レス) id: 3cc5800027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちな | 作成日時:2021年5月12日 15時