僕から奪わないでくれ【虎】

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デスクに戻ると携帯が鳴った。



名前を見て、「もしもし？」と電話に出るといたずらっ子のような声がした。








「知ってたの？」




「知らないよ。少し前に海人がジャニーズだって思い出したぐらいで、グループ名なんて覚えてなかった」







さっきまであんなに内心不機嫌ですって顔をしてたし、目も逸らしたのに声色が明るいと気持ち悪い。







「……海人は何？」






てっきり撮影後にでも海人から聞いているかと思った。




「昔からの友達」と応えると「そっか」と返ってくる。



探られているような感覚。まだコーラが残っているのか、喉の奥が気持ち悪い。







沈黙も気持ち悪くて、私から声を掛けた。







「メンバーの知り合いなんて嫌でしょ？海人察しがいいけど、お互い黙ってたらどうにかなるから。半年、ありがとうね」







元太くんも黙っていてねと言うように釘を指した。


私は関わっても仕事でたまにだけ。バレて気まずくなるのは元太くんと海人だ。




2人の大切なものを壊す趣味はない。


だったら、私がここで縁を切った方が何百倍もいい。





だって、元太くん私はたかが都合のいい関係なんだから。


その方がいい。








「え？」なんて返ってくるが、「じゃあ」と一方的に電話を切った。





これでいいはず。

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