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「元太くん」
そう呼ぶと嬉しそうな顔。
駆け足で寄ってきて、私に抱き着く。
勢いと体重でバランスを崩しかけるが、それは元太くんに支えられた。
「シャンプーの匂いする」
「シャワー浴びたからね」
「いい匂い」
犬のようにすんっと首元の匂いを嗅がれることに少し恥ずかしくなり、「ほら、行くよ」と手を引きマンションに入っていった。
鍵を開けて、家の中に入ると後ろから抱きしめてくる。
「……なに?甘えん坊なの今日?」
「……気持ち悪い」
「は?!止めてよ!?」
「嘘」
嘘と言うとにこーーーーっと笑っている。
マジ、ビビった。
「Aさん」
名前を呼ばれ、振り返るとそのまま唇が触れる。
お酒と煙草の味がする。
前にホテルで銘柄が見えたけど、なかなかきついの吸ってるよな。
そんなことを考えていると舌が入ってくる。
「ンッ……ッ……」
急なキスに呼吸の準備が出来ておらず、酸欠になり、足の力が抜け、玄関にしゃがみ込むと上から見下ろしてくる元太くんは笑っている。
「ベット貸してぇ」
語尾にハートを付けたような言い方。
だいぶ酔ってたから本当にそのまま寝るかと思っていたが、やる気満々で若さを感じる。
酒結構飲んでんじゃないの?
え?
勝手に頭の中で言葉が巡って、なんも言わない私を抱き抱えて、キョロキョロとしながらリビングに向かう。
ベッドを見つけ、丁寧に下ろし、目が合う。
「“寝るだけ”だからね」
一瞬で思い出される初めて会ったあの日。
彼はわざと言っているんだ。
あぁ、ずるい子だなぁ……
唇がまた触れた。
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ちな(プロフ) - くるみんさん» ありがとうございます〜!主人公ちゃんと同い歳なんですね。ゆったりの更新ですが、ぜひ楽しんでいただけますと幸いです!今後ともよろしくお願いします。 (2021年7月20日 15時) (レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
くるみん(プロフ) - 元太大好きです!元太の4つ上なので嬉しすぎてコメントしちゃいました(笑)これからも更新頑張ってください! (2021年7月19日 2時) (レス) id: ca6f57219d (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - ちゅっじぇさん» ありがとうございます。直接お言葉を頂けることがなかったので、更新の励みになります。少しおサボりしましたが、またゆっくりと更新しますので、また読んでいただけると嬉しいです。読んでくださって本当にありがとうございます! (2021年6月16日 16時) (レス) id: e9e3793e8e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっじぇ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています。続きがすごく気になって、更新される日を楽しみにしています!これからも応援しています。頑張ってください!! (2021年6月16日 10時) (レス) id: 3cc5800027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちな | 作成日時:2021年5月12日 15時