9話~心優しい付喪神の苦~ ページ10
一期一振side
人の子だ、人の子だ
穢れを運ぶ人の子だ
それもまだ審神者より幼いと見える男子の様だ、遠目で見て分かるのは幼い割に変に達観したような顔つきと光を灯さない死んだ目
遠くからでもわかるほど綺麗な勝色の目には光が入らない
私はあの目を知っている
あぁ……可哀想な人の子よ、お前も
何かを壊されたのか
だがこんのすけを抱え、ここに足を踏み入れるということは政府の回し者に違いない
童を手に掛けるのはいくら人間相手と言えど私には心が痛むこと、然し侵入を許してしまっては弟達や他の刀達が怯えてしまう
それはいけない
もう良い、もう良いんだ
これ以上苦しませないでくれ
手入れをされていないガタガタな刀を鞘から抜いてその子に投げると
驚いたことに人の子は受け止めた
それも素手で、躊躇せず、受けとめたあとも顔色一つ変えもせず平然と刀身を握り続けているではないか
何かがおかしい
あの人の子は何かが可笑しい
本能的にそう判断して、次の瞬間には体が勝手に飛び出て人の子が握っていた私の刀の柄を思い切り押し首に鋒を付ける
………だが、これ以上何故か刀が進まない
凄まじい力と威圧、存在感だ
なんて子だ、このような子が人の子で良いのか?
貴方「…………名乗れ、でなければ折る」
一期「ハッ……人の子にそんな事が出来る訳が無い、人間に名乗るなぞ私の名が穢れるも同然だ
首の根を切らせてもらう……!!!」
止めどなく溢れて地に落ちる血は痛みを証明している、なのに目の前のこの人の子は矢張り表情も声色も何一つ変えない
痛いだろうに、何故そこまでして私を受け止める
“私”直接、躊躇なく握っている……!?
貴方「人間も、物も、何時かは
形ある限り俺は壊すぞ
名乗れ、これ以上お前の名前に泥を塗るな」
!私の名前………を……
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作者名:元薺(サイ)だった者 | 作成日時:2022年5月23日 9時